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中小建設業の経営改善のヒントをレポート致します。
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株式会社アイユートの服部がお届けいたします。脱!どんぶり勘定を実践した会社様の様子をお知らせする事で、少しでも皆様方の経営改善のお役に立てればと発行させて頂きます。
第10回は限界利益額(損益分岐点売上)についてご説明させて頂きます。
D社は年商6億円の専門工事とリフォーム工事の部門をもつ建設業です。
まずは限界利益についてご説明致します。

限界利益

売上高から変動費を差し引いた利益。
限界利益=売上高-変動費(売上の為にかかる費用)
売上高に占める限界利益の比率を計算する事で、損益分岐点売上の算出などが可能になる。又固定費を賄う利益なので、固定費回収に貢献する利益という意味で貢献利益とも呼ばれる。

 
 

簡単に言うと粗利益額の事です。
D社の社長は決算が終了して、税理士さんからお話を聞きました。
前期の限界利益は1億円です。固定費が1億1千万円ですから営業利益で1千万の赤字です。来期は固定費を1千万削減するか粗利益率が16.67%ですので、約6千万円売上アップが必要です。

 

売上
6億


原価
5億

限界
利益
1億


固定費
(販売管理費)
1.1億

 

赤字
0.1億

 

 

 

 

 


上図のような形となります。
固定費を0.1億削減すれば、限界利益=固定費となるため
営業利益は0となります。粗利益1億÷売上6億=16.67%の粗利益率です。売上0.6億アップとなると、6.6億×16.67%≒1.1億円となります。損益分岐点売上は1.1億÷16.67%≒6.6億となり、6.6億の売上で収支0となります。
つまり、売上がこれより上回れば黒字となり逆に下回れば赤字となるわけです。
販売業など利益率が概ね変動のない業種であれば、お話の通りですが、建設業の場合は、全くあてはまりません。理由の最大原因は決算書の原価報告書では勘定科目別(材料仕入、外注、設計費、給与等)に計上されます。全部原価計算 (フルコスト)で税務申告の決算書は作成されているからです。私は原価を比例原価(受注した工事を施工するために掛かる原価=ダイレクトコスト)と固定原価(売上が無くても掛かる原価)土場の家賃、ユンボ等資産の減価償却費等原価報告書の中身を分離して管理する方法をD社にも導入致しました。つまり固定的原価は販売管理費と同じく固定費として、経営上管理すべきと考えます。
もう一つの理由は、仕事の種類、受注環境によって粗利益率の変動が激しい業種だからです。元請と下請等利益率の違う仕事を混在して売上がある為受注比率によって大きく年度毎に変動します。下図をご参照下さい。

売上
6億


比例原価
4.74億
 

限界
利益
1.26億


固定原価0.26億

固定費
(販売管理費)
1.1億

 

赤字
0.1億

 

 

 

 

 

 


工事別集計をした完成工事原価は4.74億(粗利率21%)固定原価0.26億の内訳が管理した過程で見えてきました。 (詳細は次号でご説明します)制度会計に捉われなければ、限界利益は、6億-4.74億=1.26億となり、損益分岐点売上は、赤字分の0.1億をプラスして1.36億になります。1.36億÷21%≒6.48億となります。

この図だけでは改善出来ません改善の入口にたどりついただけです。次号では、


1.固定原価の内訳をD社の事例でご説明します。(0.26億の内訳)
2.上図から利益感度(利益確保の為の4つの方法を分析)努力要点をご説明
3.上図から目標利益の設定(年度利益計画)の立て方をご説明します。
4.更に限界利益の目標設定 部門別(新築、リフォーム、元請、下請) 顧客別等の設定についてD社の事例でご説明します。
 

アイユートは会社の見える化を図り、中小建設業の最重要な儲けるための会計を実践して経営の補佐役に徹したいと思っています。

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プロフィール
HN:
服部 正雄
性別:
男性
自己紹介:
長年にわたる建設業での総務・経理経験を活かし、”脱どんぶり勘定”を目指す経営者様の補佐役として『株式会社アイユート』を設立し、事業に邁進する。
コンサルティングと原価プロにより、事務処理型の経理からの脱却・攻めのデータ・数値分析手法で経営改善を実現する。
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