1番目は記帳代行を会計事務所や専門業者の任せているパターンです。これは自計化されていない会社さんなので、やむえませんが、翌月等に纏めて入力されます。従って会計のデータ等試算表が作成されるのは遅くなります。
2番目は自社で会計ソフトに入力されて、翌月会計事務所の先生が監査や確認業務に来社される迄に纏めて入力される会社さんです。
最後に経理の担当者が毎日の取引仕訳を都度毎日入力される会社さんです。この場合には現金残高の金種内訳等の記録を残したり、銀行別に残高等を毎日確認する事が出来ます。
実は勤務していた時代にはこの三つ目のパターンが当たり前であると思っていた為、起業してお客様の状況を現実に知る段階でカルチャーショック的な感覚があった事を覚えています。
此処からが申し上げたい事です。今も順次進んでいると思いますが、まず記帳する仕事が何年先かは分りませんが、無くなる仕事である事。
銀行のファームバンキングのデータからそのまま会計データに移行されたりする仕組みが出来る筈です。そうなれば早く試算表等も出来るようになり易いです。
経営革新等の勉強する経営者の塾では、先生が翌月5日とか10日迄に試算表の作成できる体制創りを推奨されているようです。私も試算表の早期化には賛成ですが、建設業の場合には此処に未成工事支出金と受入金の金額の把握が不可欠です。そこが難しい部分です。
そこを社内で如何に早く、正確に掴む事が出来るようになるか、建設業の経理担当者は此処に力を集中して頑張って頂きたいと思います。
それから3つ目の毎日入力されている会社の方が前者の会社よりタイムリーな資料で、資金繰りや経営数値の把握が容易である事は間違いありません。
特にどんぶり勘定から脱したい経営者の方は、貸方、借方は知らなくて構いませんが、こういった仕組みの改善を勉強される事は大事なことです。
会社の仕事の仕組みを考えて改善を推進する事は経営者の仕事です。
新しいお客様で3月決算の会社様のお話です。ゼネコンから専門工事の下請としてお仕事をされています。
決算の打合せ時に税理士さんから、今期から従来の進行基準から完成基準に変更で宜しいですね?
と社長に確認の言葉があった。
建設業の収益計上の基準は工事完成基準と工事進行基準があります。
工事完成基準は工事による完成引き渡し時に完成工事高として収益が計上されます。完成するまでは未成工事として入金した金額は未成工事受入金として前受金と同じように負債となります。
又支出した金額は未成工事支出金として仕掛として棚卸資産に計上されます。
この先生の言われた言葉の工事進行基準とは、工事の進行度合いにより進捗率によって収益計上される形です。
又工事期間が1年以上請負金額が10億円以上の大型工事については工事進行基準の適用を受けます。
進行基準の言葉に食い付く訳ではありませんが、この会社の売上計上のタイミングは元請先に請求書を発行した時が売上(完成工事高)の計上となっていました。
従って工事が終了していても元請から注文書や指定請求書等が未着の場合は売上にならず、契約されている工事の出来高の請求も請求書の発行時に売上計上となります。
つまり進行基準ではなく、請求書の発行時基準で建設業以外の業種の売上基準で決算が行われていたのです。
だから今期の工事別の収益を見ると決算終了後の4月から6月の粗利益率が異常に高くなりました。
これは本来の工事原価の管理が出来ていれば、未成工事支出金として計上すべき原価が前期の原価に計上されて、今期の売上高に見合う原価は既に前期計上済と言わざるをえません。
税務署的にみれば、前期の期ズレとして前期の完成工事原価が過大計上されていたと言われる可能性があります。
従って本来の工事進行基準で決算を実施しようとすれば、工事毎の進捗の確認及び工事に付随する原価が正しく把握する必要があります。(完成基準より難しいと思います)
いずれにしても正しい経営状況を把握する為には工事1件毎の請求管理や原価管理が必要です。
多くの中小建設業ではこのお客様のような問題を抱えたまま決算を実施している現実があります。
儲かる中小建設業には絶対必要な経理の仕組みです。出来ていない会社は是非ご相談下さい。
会計の完成工事高と原価プロの完成工事高が一致しません。
理由を調べたところ、会計の売上元帳にお客様から相殺される振込料が売上のマイナス、つまり値引きで処理されていました。
従来お取引のあった会社さんの税理士さんは振込手数料の相殺は支払手数料や雑費等の経費と売上又は売掛金が相殺される処理でした。初めての体験でビックリしました。
結果、売上高が減る事と結果、販売管理費が増える事で利益は一緒になるのでお客様の損失はありませんが・・・・・・・
①会計ソフトと売上高を合せる為には、値引きの工事を毎月作成して振込料分売上減額の手間がいる。
②営業利益の段階では一緒だが、売上高や売上総利益は値引き分が少なく表示される。
③安全協力会費や現場の経費相殺等は値引きでは無く、原価又は販売管理費に経費として計上されているので何故?
④この会社のように、売上高5千万以上の消費税本則課税の事業者には消費税に変りはないが、簡易課税の事業者にとっては、その分消費税が少なくなるが、税務署からすれば、その分売上の過少申告になり僅かではあるが、消費税の過少申告になり問題では?
①は私の処理の手間だけですので問題有りませんが、②から④については、この税理士さんにお尋ねするか?
お節介な性格故に多分聞く事になると思うが、又経営者に対し上から目線のこの先生に話をするストレスを感じて胃がしくしくする。
でも会社経営にとっては、疑問点や問題点を経営者の理解の基に進めなくては、細かな部分迄経営者にお話しするそんな経理の番頭さんが、10億も売上がある会社さんには必要な存在だと思います。
ご契約頂き決算書を拝見すると、税込決算になっていました。
今迄のお客様は全て税抜の決算でしたので驚きました。稀に経営相談等で拝見する決算書で税込も拝見した事は有りますが、年商5千万円に満たない簡易課税の会社の場合でした。
顧問の税理士先生に何故税込ですか?とお尋ねすると、お金の流れを中心に経営の指導をしたいとのお話でした。
お金の流れならば、キャッシュフロー計算書や資金繰り表を別途作成してご指導頂いた方が良く理解されると思いますが・・・・・
懇意にしている税理士さんにお聞きすると、会計ソフトの設定を変えるだけで簡単に出来るし、お金の流れの説明についても私と同じ意見でした。
自分なりの見識から申し上げると、期中は税込みで試算表等を作成(売上が大きく見せる事が出来る)しているお客様はありますが、売上を大きく見せる事以外にメリットは感じません。
自分の把握しているデメリットは
①納付する消費税が販売管理費の租税公課になり、経常利益は変らないが、分析時に分母の売上が大きくなる為に経常利益率は少し悪い数値になる事。
②交際費(この会社様で1200万あり)全額経費にならない部分もある為、税抜であれば消費税分が所得加算金額が少なくなる。又固定資産か消耗品かの判定時にも微妙に消費税分が節税出来ないのではと思います。
③又大きな設備投資があった時の減価償却費の処理を考えると、減価償却費が消費税分多く計上されたり、納付する消費税が販売管理費の計上になり差引の利益も大きくなったりすると思う。
④又お金の話であれば、毎月借受消費税と仮払消費税が表示され差額が預かっている消費税もはっきり分かるし中間で納付した分も未払消費税のマイナスで表示され毎月資金面でもはっきり解り都合が良いと思う。
⑤更に建設業の場合には、公共工事の受注等に必要な経営事項審査を受ける場合には税抜決算が必要です。勿論行政書士の先生のお仕事ですので私がとやかく言う事ではありませんが、前期のように期中で税率の変更等があれば、正しく税抜きに引き直して処理する事は自分の経験からも非常に難しいと思います。
こんな話も、お節介な性格ゆえ、追々経営者にご説明する事になるのですが、税理士さんの反論も怖いので勉強して理論武装しないとと思っています。お読み頂いた専門家の先生方税込経理のメリットや私のブログに誤りがあればご教示頂きたいと思います。
株式会社アイユートの服部がお届けいたします。脱!どんぶり勘定を実践した会社様の様子をお知らせする事で、少しでも皆様方の経営改善のお役に立てればと発行させて頂きます。
第19回は会計ソフトの税抜完成工事高の間違いで借受消費税が多く計上された年商6億円の土木工事・建築工事の会社様の改善事例について書かせて頂きます・この会社様は数年前に私のコンサルティングを卒業されたお客様で毎月訪問させて頂かない先です。お電話を頂き今年度は完成工事高が会計ソフトの金額の方が工事管理ソフトの金額より約300万少ないけどどうしてでしょう?との相談でした。(その差額300万円は利益が300万減少して消費税の納付額が300万増加する事が経営者も経理担当の奥様もご存じありませんでした)
訪問させて頂き早速毎月の工事管理ソフトの工事毎の完成工事高と会計ソフトの元帳を照合しました。予想通り消費税の値上げ後の26年4月~6月に大量に差異が発生していました。原因の最大の理由は、この会社の会計処理の仕方に問題がありました。売上計上の方法が現金主義の為です。(入金時に売上を計上して売掛金の残高を毎月会計ソフトに入力して月次の売上高を計上する方法)
例えば26年3月に完成したA件名工事は請負金額税抜1千万円(税込1050万)工事管理ソフトでは税抜1千万円借受消費税50万円(5%の消費税率)が完成工事高となります。この工事の入金が5月に1050万あった時会計ソフトでは4月以降は税率8%に設定されている為1050万税込、税抜売上9,722,222円借受消費税777,778円と計上されます。勿論会計ソフトを5%に修正する事は可能です。(1件毎に入金される場合には比較的分り易く、修正済も有りましたが)
複数(沢山)の工事代金を元請から5月に入金された時に、会計ソフトの売上を工事毎にA工事は5%、B工事は8%等と分けて入力する仕組みになっていません。例えば5月に6360万の入金があった場合には会計ソフト(58,888,889円税抜売上・4,711,111円借受消費税)となります。しかし工事毎には3月迄の完成工事と4月の完成工事と複数の工事件名の入金があった場合には難しい訳です。(この事例では、3月迄の工事4200万税抜4000万借受消費税200万4月の工事2160万税抜2000万借受消費税160万)合計税抜売上高6000万仮受消費税360万となります。正しい完成工事高は6000万借受消費税は360万ですが、会計ソフト上は58,888,889円借受消費税4,711,111円の為差額の1,111,111円も完成工事高を減らし(純利益の減少)1,111,111円余分に消費税を納付する事(キャッシュの減少)を招く訳です。会計事務所の先生も月次監査で毎月この会社も訪問されて会計資料のチェツクもされていたのにこの結果です。(多くの会計事務所は売上の請求書1枚毎に税率の確認はされていません)
この会社の社長も憤慨して会計事務所に文句を言われていましたが、現実の問題として多くの建設会社で現実に発生している事も事実です。
比較的間違いが発生し難い方法が発生主義(工事毎の完成時に売掛金を計上して入金時は売掛金を減らす方法)この方法ですと、3月に完成した工事は5%で計上4月に完成した工事は8%で計上、5月の入金時は売上に関係しない為正しく計上が可能です)現在私のお客様の半分位が発生主義で処理されています。
原則的には以上の様な話ですが、実際に私が見た消費税の間違い事例は沢山あります。①経過措置の適用(25年9月30日迄に請負契約を締結の場合完成引渡が26年4月1日以降でも5%の適用)を受けた工事でも8%計上した事例
②土地の販売(土地は非課税売上)があった時に建物(課税売上)の工事代金と一緒に入金された時の会計の仕訳ミス③値引きの処理(26年3月以前の完成分を27年に回収不可になり値引時8%で処理)本来の請求時の税率で値引も実施
④部門毎に発生主義と現金主義が混在している会計処理の会社(工事の分は発生主義不動産の取引は現金主義)でも間違いがありました。⑤3月に完成したと考えて5%で計上したが元請の検収基準で4月の検収と判断され入金時に8%の入金があった会社(逆のケースで4月の完成で8%で請求したが検収基準が3月と判断され入金時5%しか消費税が入金されないケースで会計仕訳が修正されていない)等沢山の間違いを今回の消費税の値上げで実体験させて頂きました。此処からは防止策について書かせて頂きます。基本的には工事管理ソフト等を利用されて、①工事1件毎の請負額と請求売上額更には完成日を照合確認される事が必要です。②同様に請求売上を計上されても出来高請求のものや、契約金や中間金での入金等を未成工事受入金として毎月会計ソフトに振替入力され③会計ソフトの完成工事高と工事管理ソフトの完成工事高を照合されて違っていれば都度調査されて正しい完成工事高を計上する事が重要です。
又本日は完成工事高の間違い=利益の減少=消費税の過大納付に絞って書かせて頂きましたが、払う方の消費税については更に多くの間違い事例があります。
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コンサルティングと原価プロにより、事務処理型の経理からの脱却・攻めのデータ・数値分析手法で経営改善を実現する。