会計の完成工事高と原価プロの完成工事高が一致しません。
理由を調べたところ、会計の売上元帳にお客様から相殺される振込料が売上のマイナス、つまり値引きで処理されていました。
従来お取引のあった会社さんの税理士さんは振込手数料の相殺は支払手数料や雑費等の経費と売上又は売掛金が相殺される処理でした。初めての体験でビックリしました。
結果、売上高が減る事と結果、販売管理費が増える事で利益は一緒になるのでお客様の損失はありませんが・・・・・・・
①会計ソフトと売上高を合せる為には、値引きの工事を毎月作成して振込料分売上減額の手間がいる。
②営業利益の段階では一緒だが、売上高や売上総利益は値引き分が少なく表示される。
③安全協力会費や現場の経費相殺等は値引きでは無く、原価又は販売管理費に経費として計上されているので何故?
④この会社のように、売上高5千万以上の消費税本則課税の事業者には消費税に変りはないが、簡易課税の事業者にとっては、その分消費税が少なくなるが、税務署からすれば、その分売上の過少申告になり僅かではあるが、消費税の過少申告になり問題では?
①は私の処理の手間だけですので問題有りませんが、②から④については、この税理士さんにお尋ねするか?
お節介な性格故に多分聞く事になると思うが、又経営者に対し上から目線のこの先生に話をするストレスを感じて胃がしくしくする。
でも会社経営にとっては、疑問点や問題点を経営者の理解の基に進めなくては、細かな部分迄経営者にお話しするそんな経理の番頭さんが、10億も売上がある会社さんには必要な存在だと思います。
ご契約頂き決算書を拝見すると、税込決算になっていました。
今迄のお客様は全て税抜の決算でしたので驚きました。稀に経営相談等で拝見する決算書で税込も拝見した事は有りますが、年商5千万円に満たない簡易課税の会社の場合でした。
顧問の税理士先生に何故税込ですか?とお尋ねすると、お金の流れを中心に経営の指導をしたいとのお話でした。
お金の流れならば、キャッシュフロー計算書や資金繰り表を別途作成してご指導頂いた方が良く理解されると思いますが・・・・・
懇意にしている税理士さんにお聞きすると、会計ソフトの設定を変えるだけで簡単に出来るし、お金の流れの説明についても私と同じ意見でした。
自分なりの見識から申し上げると、期中は税込みで試算表等を作成(売上が大きく見せる事が出来る)しているお客様はありますが、売上を大きく見せる事以外にメリットは感じません。
自分の把握しているデメリットは
①納付する消費税が販売管理費の租税公課になり、経常利益は変らないが、分析時に分母の売上が大きくなる為に経常利益率は少し悪い数値になる事。
②交際費(この会社様で1200万あり)全額経費にならない部分もある為、税抜であれば消費税分が所得加算金額が少なくなる。又固定資産か消耗品かの判定時にも微妙に消費税分が節税出来ないのではと思います。
③又大きな設備投資があった時の減価償却費の処理を考えると、減価償却費が消費税分多く計上されたり、納付する消費税が販売管理費の計上になり差引の利益も大きくなったりすると思う。
④又お金の話であれば、毎月借受消費税と仮払消費税が表示され差額が預かっている消費税もはっきり分かるし中間で納付した分も未払消費税のマイナスで表示され毎月資金面でもはっきり解り都合が良いと思う。
⑤更に建設業の場合には、公共工事の受注等に必要な経営事項審査を受ける場合には税抜決算が必要です。勿論行政書士の先生のお仕事ですので私がとやかく言う事ではありませんが、前期のように期中で税率の変更等があれば、正しく税抜きに引き直して処理する事は自分の経験からも非常に難しいと思います。
こんな話も、お節介な性格ゆえ、追々経営者にご説明する事になるのですが、税理士さんの反論も怖いので勉強して理論武装しないとと思っています。お読み頂いた専門家の先生方税込経理のメリットや私のブログに誤りがあればご教示頂きたいと思います。
お客様の中でも実行予算が素早く提出出来るようになった会社といつまでたっても掛け声だけで実行予算が作成できず成り行きで支出管理をされている会社の二つのパターンがあります。
実行予算が大事であり、原価改善の基本である事はいつもの持論で本日は申しませんが、会社で作成を決めても実行出来ていない会社の社長の発言が潔いのでご紹介します。
専門工事業のA社でも、会議等で実行予算の提出が無いと支払が出来ないとか、発注書等で協力業者との金額の値決めをしなさいとか、工事担当者の方に指示を出されているのですが、提出する方は僅かで全体に進みません。
そこで社長が言った言葉は
出さない社員が悪いのではない、やらせる事の出来ない自分が悪い!
実行予算が無くてもこの会社の業績は良好です。そんな社長の姿勢に信者が多いのか社員からの信頼は厚い社長です。
出来ない理由は其々理由があると思うが、それを聞いていても話は前に進みません。出来る方法を皆で考えて、そして実行する。そうすればもっともっと儲かる会社にすることが出来ると思う。
社長の決定を当たり前のように実行する、スピードも求められる時代だと思います。
株式会社アイユートの服部がお届けいたします。脱!どんぶり勘定を実践した会社様の様子をお知らせする事で、少しでも皆様方の経営改善のお役に立てればと発行させて頂きます。
第19回は会計ソフトの税抜完成工事高の間違いで借受消費税が多く計上された年商6億円の土木工事・建築工事の会社様の改善事例について書かせて頂きます・この会社様は数年前に私のコンサルティングを卒業されたお客様で毎月訪問させて頂かない先です。お電話を頂き今年度は完成工事高が会計ソフトの金額の方が工事管理ソフトの金額より約300万少ないけどどうしてでしょう?との相談でした。(その差額300万円は利益が300万減少して消費税の納付額が300万増加する事が経営者も経理担当の奥様もご存じありませんでした)
訪問させて頂き早速毎月の工事管理ソフトの工事毎の完成工事高と会計ソフトの元帳を照合しました。予想通り消費税の値上げ後の26年4月~6月に大量に差異が発生していました。原因の最大の理由は、この会社の会計処理の仕方に問題がありました。売上計上の方法が現金主義の為です。(入金時に売上を計上して売掛金の残高を毎月会計ソフトに入力して月次の売上高を計上する方法)
例えば26年3月に完成したA件名工事は請負金額税抜1千万円(税込1050万)工事管理ソフトでは税抜1千万円借受消費税50万円(5%の消費税率)が完成工事高となります。この工事の入金が5月に1050万あった時会計ソフトでは4月以降は税率8%に設定されている為1050万税込、税抜売上9,722,222円借受消費税777,778円と計上されます。勿論会計ソフトを5%に修正する事は可能です。(1件毎に入金される場合には比較的分り易く、修正済も有りましたが)
複数(沢山)の工事代金を元請から5月に入金された時に、会計ソフトの売上を工事毎にA工事は5%、B工事は8%等と分けて入力する仕組みになっていません。例えば5月に6360万の入金があった場合には会計ソフト(58,888,889円税抜売上・4,711,111円借受消費税)となります。しかし工事毎には3月迄の完成工事と4月の完成工事と複数の工事件名の入金があった場合には難しい訳です。(この事例では、3月迄の工事4200万税抜4000万借受消費税200万4月の工事2160万税抜2000万借受消費税160万)合計税抜売上高6000万仮受消費税360万となります。正しい完成工事高は6000万借受消費税は360万ですが、会計ソフト上は58,888,889円借受消費税4,711,111円の為差額の1,111,111円も完成工事高を減らし(純利益の減少)1,111,111円余分に消費税を納付する事(キャッシュの減少)を招く訳です。会計事務所の先生も月次監査で毎月この会社も訪問されて会計資料のチェツクもされていたのにこの結果です。(多くの会計事務所は売上の請求書1枚毎に税率の確認はされていません)
この会社の社長も憤慨して会計事務所に文句を言われていましたが、現実の問題として多くの建設会社で現実に発生している事も事実です。
比較的間違いが発生し難い方法が発生主義(工事毎の完成時に売掛金を計上して入金時は売掛金を減らす方法)この方法ですと、3月に完成した工事は5%で計上4月に完成した工事は8%で計上、5月の入金時は売上に関係しない為正しく計上が可能です)現在私のお客様の半分位が発生主義で処理されています。
原則的には以上の様な話ですが、実際に私が見た消費税の間違い事例は沢山あります。①経過措置の適用(25年9月30日迄に請負契約を締結の場合完成引渡が26年4月1日以降でも5%の適用)を受けた工事でも8%計上した事例
②土地の販売(土地は非課税売上)があった時に建物(課税売上)の工事代金と一緒に入金された時の会計の仕訳ミス③値引きの処理(26年3月以前の完成分を27年に回収不可になり値引時8%で処理)本来の請求時の税率で値引も実施
④部門毎に発生主義と現金主義が混在している会計処理の会社(工事の分は発生主義不動産の取引は現金主義)でも間違いがありました。⑤3月に完成したと考えて5%で計上したが元請の検収基準で4月の検収と判断され入金時に8%の入金があった会社(逆のケースで4月の完成で8%で請求したが検収基準が3月と判断され入金時5%しか消費税が入金されないケースで会計仕訳が修正されていない)等沢山の間違いを今回の消費税の値上げで実体験させて頂きました。此処からは防止策について書かせて頂きます。基本的には工事管理ソフト等を利用されて、①工事1件毎の請負額と請求売上額更には完成日を照合確認される事が必要です。②同様に請求売上を計上されても出来高請求のものや、契約金や中間金での入金等を未成工事受入金として毎月会計ソフトに振替入力され③会計ソフトの完成工事高と工事管理ソフトの完成工事高を照合されて違っていれば都度調査されて正しい完成工事高を計上する事が重要です。
又本日は完成工事高の間違い=利益の減少=消費税の過大納付に絞って書かせて頂きましたが、払う方の消費税については更に多くの間違い事例があります。
政府によるマイナンバーの目的は『マイナンバーは行政を効率化し国民の利便性を高め公平・公正な社会を実現する社会基盤です』との事です。
私が現在お客様も含めて廻りで大変困ると思われる事が3つあります。
1つは会社は社会保険に加入していても、適用社員が全員加入していない(入りたくない社員も含めて)建設会社の事例です。
建設業の場合前から加入促進の措置として元請けに出す安全書類等に社会保険者の番号の記入や加入の有無を記入する欄等がありましたが、必ずしも適用社員全員を記入する訳ではないので、社会保険の調査等で発覚しなければ、社長や幹部だけが社会保険に加入、一般社員は未加入等の例も見受けられました。社保に加入すれば会社は社保の会社負担分(給与の約14%)が法定福利費として負担が増えます。30万の給与の社員が10名いれば年間約500万の負担増になります。又入りたくない理由のある社員さんも約14%給与から控除され手取りの給与が減ります。
元々加入義務があるのに入っていなかった点で考えれば当然ですが、今後の経費の増加は明らかで経営が大変になりそうです。
2つ目は優秀なパートさんで労働時間は短い為会社の社保には加入できないが、時給が高い事もあり年間130万以上の給与の方です。夫の会社の健康保険の扶養家族として入り又年金も第3号保険者として実質負担がなかった方の場合、自営業者と同じように、自分で国民保険に加入して厚生年金も第1号保険者になり個人の負担が大きく発生する訳です。
3つ目は会社に勤務しながら、会社に内緒で、休日等に他所でアルバイトをしたり、個人で紹介料等給与所得以外の所得があっても会社に分らないから大丈夫と考えてみえる方等マイナンバーを支払者が記入義務等がある為発覚してしまう訳です。
私の廻りの方の3つの事例は今後正しい方に是正される事になると思います(これが公平・公正という事?)
社保に未加入の会社はより稼ぐ努力をして、粗利益を増加させないと、社員さんに付随する経費がアップする事は避けられません。
又個人も手取り収入の減少や自身の負担増等も避けられません。心当たりのある社長さん、社員さんは、早急に対策が必要です。
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