第6回は年商4億円、年間20棟位の新築注文住宅とリフォーム工事を施工する工務店の利益改善事例です。
この工務店では、実行予算の作成が無く、積算データを参考に業者からの請求書にて支払をしていました。積算データも実情と少しズレがあり、お客様への見積内訳には使えましたが、実行予算としてデータをそのまま使うには疑問視される位のものでした。
改善ポイントは3つです。1つ目は目標利益率の設定です。まず全体の計画の中から新築住宅の目標利益率(23%)を設定しました。前々年度は約22%前年度は19%平均に競争受注の物件も増え下落したのもきっかけになりました。(今後更に厳しい受注も見込まれる為危機意識が働き改善を計る事に)
2つめは実行予算の作成です。積算の工種毎に積算データと実支払金額の違いをチェックして見直しを図りつつ実行予算を工種別に作成しました。ここでポイントはぎりぎりの金額に設定した上で、現場経費として一定額を計上して調整項目として担当者の意思で使用出来る予算項目を設定しました。(担当者の自分を守るリスクから多めに予算を設定するのを避ける目的です)又契約内容の厳しい物件はそれなりに絞った実行予算を組む事で平均を23%に設定する事が出来ました。
3つ目は実行予算の工種毎に取引業者様からメーカー品等は合見積を取ったり労務費割合の高い大工工事等は出面を調査したりして担当者自身が勉強、努力する事から始まり、予算の範囲内で業者と金額の取決を確実に実行して、発注書を発行するようになりました。発注書は3枚複写です。
1枚目は業者様へ発注書として交付、2枚目は発注控として会社に業者毎に保管管理、3枚目は業者様へ指定請求書として交付しました。業者様は仕事が完了したら、従来の自社請求書に替えて、会社発行の指定請求書に会社印を押して請求書の形で請求する方法に替えました。この指定請求書方式は、追加工事等の契約内容にない仕事を依頼した時等に、従来なら業者様の請求書で支払っていた訳で、追加工事の請求などもチェツクが確実に出来ませんでした。この方式になって追加工事の契約、実行予算等が出来てから業者様への発注書を発行する手順となる為、知らない内に支払が行われる事は100%なくなりました。
成果の1番はミスやロスが有った時以外は確実に粗利益予想が立つ事です。
2番目はそのミスやロスの発生が担当者だけでなく社長も含め周知される事になり都合の悪い事もオープンになった事です。何故ミスやロスが起きたか?原因がはっきりする事で、責任の所在が業者様に有るのか?担当者に有るのか?設計に有るのか?単純な連絡ミスか?等話し合いの上支払が行われる体制になりました。
3番目は最大の成果である粗利益率のアップです。正直私の予想を上回る成果が出ました。現在のシステムに変更後約半年が経ちました。8邸が実行予算⇒発注書のシステムで支払、原価の管理が出来ました。8邸の平均粗利益率が25%になりました。最高は31%、最低は18%の粗利益率です。受注時の価格の設定、お客様との追加変更等の交渉等スタートから1邸毎に条件が違う中平均で6%のアップが出来た事。目標粗利益を2%上回った事。粗利益金額で1邸平均100万円の稼ぎが増えた事。など大きな成果を上げる事が出来ました。
4番目に工種毎に実行予算⇒発注金額⇒最終原価支出と資料が出力される為、工種毎に予算オーバーした工種、反対に余剰金のたくさん出た工種が分かり更に工種毎の支払先業者名もはっきりする為、今後の実行予算の作成に参考になると現場担当者からも好評です。
このように大きな成果を上げる事が出来ました。スタート前には社内にも予算を立てる体制、業者様との値決め交渉等、やった事のない仕事に対する不安や心配も多く抵抗する方も見えた訳ですが、満足な結果が出てコンサル冥利に尽きる仕事が出来たと思っています。
実行予算の組めない会社様、是非アイユートにご相談頂き、粗利益の最大化を計り会社の経営改善に役立てましょう。
株式会社アイユートの服部がお届けいたします。脱!どんぶり勘定を実践した会社様の様子をお知らせする事で、少しでも皆様方の経営改善のお役に立てればと発行させて頂きます。
第5回は年商8億円の注文住宅とリフォーム工事などを行っている住宅会社の改善事例です。
新築住宅の利益率、リフォーム工事の利益率、メンテナンス工事の利益率、その他商品販売等かなり利益率が変動しています。又この会社は一部下請で住宅工事も施工しています。会社の目標は全体売上が目標でした。でも工事高の内訳によって大きく粗利益が変動する事を説明しました。又雨漏り等の過去の引渡物件の瑕疵がある工事も区別せず、全体管理の状況でした。1年目に個別工事原価の管理と共に部門別に売上高・粗利益高を管理するように改善出来ました。目標はともかく、下表のような結果が1年の売上高・粗利益の額です。
部門名 |
完成工事高 |
工事原価 |
粗利益 |
利益率 |
利益構成 |
新築住宅 |
450,000 |
346,500 |
103,500 |
23% |
62.5% |
リフォーム |
60,000 |
39,000 |
21,000 |
35% |
12.7% |
メンテ工事 |
20,000 |
12,000 |
8,000 |
40% |
4.8% |
商品販売 |
20,000 |
17,000 |
3,000 |
15% |
1.8% |
下請工事 |
250,000 |
220,000 |
30,000 |
12% |
18.2% |
瑕疵工事 |
0 |
5,500 |
-5,500 |
―― |
―― |
合 計 |
800,000 |
640,000 |
160,000 |
20% |
100% |
この結果から判明した事は沢山有りますが、1番は下請工事の20%弱の全体利益構成に対して監督、積算、職人も含めて掛かる人員が多く経費倒れの感じが経営者の感想2番目にはリフォーム工事の利益率が30%と従来社内では言われていたが、実数は35%と良かった事、3つ目は瑕疵工事の経費が今迄計算外であった事です。そして各々の部門に掛かる人員と経費を分けて管理しました。又役員や事務職員の経費他共通費は本部費として売上案分して、合計の採算度合を役員会議で報告致しました。今年度は固定費が1億7千万掛かり赤字が1千万程計上された事。等過去の役員会とは違った具体的な計数が身近になり、対策を立てるのに参考になると最初は反対していた役員の声が有りました。
この他に瑕疵工事について大きな成果がありました。瑕疵工事の原因の検討、反省、分析が工事部で行われ結果、施工時の注意等の対策が検討された事及び150万円程度の支出が有った雨漏り工事で、原因が下請に有り交渉した所、下請のPL保険が使えて、保険会社から150万の入金が有った事です。
役員会にて次年度の数値目標が立てられました。固定費は500万削減して粗利益は1,500万増 経常利益は1,000万の目標です。
(具体的なプランが有ると結果の検証や変更が出来ます)
部門名 |
完成工事高 |
工事原価 |
粗利益 |
利益率 |
利益構成 |
新築住宅 |
450,000 |
337,500 |
112,500 |
25% |
63.2% |
リフォーム |
100,000 |
65,000 |
35,000 |
35% |
19.7% |
メンテ工事 |
20,000 |
12,000 |
8,000 |
40% |
4.5% |
商品販売 |
20,000 |
17,000 |
3,000 |
15% |
1.7% |
下請工事 |
150,000 |
130,500 |
19,500 |
13% |
10.9% |
瑕疵工事 |
0 |
3,000 |
-3,000 |
―― |
―― |
合 計 |
740,000 |
565,000 |
175,000 |
23.7% |
100% |
売上はマイナスの目標ですが、前年との違いは①下請工事の比率をへらしリフォーム工事の受注を増やし、人員配置も変更②新築利益率と下請住宅の利益率を改善(具体的に実行予算の管理と発注管理を確実に)③瑕疵工事の反省を活かし金額的に瑕疵工事の有った場合も実行予算を立て、協力業者に特別協力の要請など具体的目標の設定が数字に落とし込みされている事です。
此処で皆様にご理解頂きたいポイントは売上高では無く粗利益額が重要な事。
粗利益>固定費 前年は16000万<17000万の為赤字1000万。今年の目標は17500万>16500万の経常利益1000万確保です。
このように社内に計数管理が浸透して、利益意識が向上すると、原価の低減、顧客との金額交渉、経費の削減等、社員自ら目標達成の為に努力する事で、利益体質の良い会社に変身する1つの要因に成ると思います。
是非御社も目標管理、部門管理を始めませんか?
アイユートは中小建設業の社長様の補佐役として、大変厳しい状況でも常に、
粗利益と固定費を意識した利益体質の会社を創り出すお手伝いをさせて頂きます。
是非アイユートにご相談頂きます様宜しくお願い致します。
株式会社アイユートの服部がお届けいたします。脱!どんぶり勘定を実践した会社様の様子をお知らせする事で、少しでも皆様方の経営改善のお役に立てればと発行させて頂きます。
第3回は年商5億円の注文住宅とリフォーム工事などを行っている工務店様の改善事例です。
3月が決算の会社で、完成引渡が3月に多く発生致します。今年は残念ながら3月の引渡工事が例年に比べて大きく減少致しました。ただ年間通じての売上は減少していませんでした。社長は3月の落ち込みは有ったものの、全体の売上は維持出来ていたので、安心して決算が出ると思っていました。ところがびっくりした決算が税理士さんから出てきました。(大きな赤字が出ていた)為理由を、税理士さんに確認した所、利益率の大幅な落ち込みと言われました。
会社で受注した時の積算原価等、そんなに変わっていない事も掴んでいました。大きな疑問が生まれていました。
そこで紹介者を通じて、ご相談を頂き私が訪問調査させて頂きました。状況をお聞きして私の予想が当たっていました。少しの時間で原因を掴めました。
前年分 |
完成工事高 |
工事原価 |
粗利益 |
利益率 |
未払金 |
2月迄完成 |
400,000 |
316,000 |
84,000 |
21.0% |
0 |
3月完成高 |
100,000 |
50,000 |
50,000 |
50.0% |
25,000 |
前年 決算 |
500,000 |
366,000 |
134,000 |
26.8% |
25,000 |
本年分 |
完成工事高 |
工事原価 |
粗利益 |
利益率 |
未払金 |
2月迄完成 |
480,000 |
385,000 |
95,000 |
19.8% |
0 |
3月完成高 |
30,000 |
15,000 |
15,000 |
50.0% |
7,500 |
本年 決算 |
510,000 |
400,000 |
110,000 |
21.6% |
7,500 |
前年粗利益134,000-110,000=24,000千円が本年の決算で見込んだ数字との差額です。その分最終利益が落ち込んだ原因です。
未払費用 |
第2回は年商8億円の土木工事、建築工事を行っているK社の利益改善の過程をご報告致します。K社は原価プロ導入2年を経過した顧問先です。
社長が社員の成績表示等意識改革に慎重な考えの持ち主です。従って、実行予算の入力、指定発注書・請求書の発行、監督会議の開催など、提案事項はまだ実施されていません。
しかし導入1年目と2年目の工事内容、利益率に大きな改善が実施されました。
原価プロの集計は上記の様に区分別、取引先別、担当者別、工事種別等売上・粗利益の内訳が分析できます。
上表の中で、土木下請先の取引先3社が1年間通じて赤字で有る事が分かりました。(担当者の給料、積算等の費用は含まず)
材料、外注、直接経費の支出が請負金額より多い訳です。
(元請先の公式 請金-自社利益=原価支払)
社長も厳しい内容で受注している事は理解していましたが、まさか赤字工事とは予想もしていなかった訳です。
改善としては、
1.赤字受注先3社の受注時の原価絞込で無理に受注しない事
2.赤字ではないが、平均利益率が10%以下の工事原価の再チェック
を重点項目として実施致しました。
社長としては、職人さんの事も考えて注文頂いた工事は拒まず受注していた結果であると反省と共に、計数管理の実績に感謝の思いです。
下表は2年目の実績です。上記改善方針から売上は約25%減少致しました。金額にして約2億円の減少です。でも決算では粗利益が増加し、減収増益で す。
営業利益は約1,500万の増加です。
ここでのポイントは実際に赤字又は利益率の低い工事を重点的に見直しを計った訳ですが、見直し作業の過程で、受注判断をする、社長の利益意識の改善が 営業、工事、経理の各部門長に良い影響を与えて、社内全体の利益意識のアップに繋がり他の区分の工事も利益率が増加出来た事です。
厳しい状況が続く業界に有って、勝ち残る為には 粗利益>固定費の式を 経営者が、固定費の把握と共に理解して、毎月工事利益のチェックが出来る体制が必要です。
P⇒D⇒C⇒Aのサイクルで、経営目標(工事利益)を確認、改善する事が 重要であると思います。
今回の報告事例の様に、原価プロのデータを分析して改善に繋げる資料が自社の経理部門で作成出来る様にアイユートでご指導させて頂きます。
日々仕事に追われ忙しい社長様の補佐役としてアイユートが御社の経営改善のお役に立つ事が最高の幸せです。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
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24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
コンサルティングと原価プロにより、事務処理型の経理からの脱却・攻めのデータ・数値分析手法で経営改善を実現する。